
PROJECT FILE:02
TECCELLスリーブボックス
拡販プロジェクト
OUR FIELD
プロジェクトストーリー
新素材を活用して
物流クライシスの解決に
チームで挑む!
高強度・超軽量で、断熱性や衝撃吸収効果、吸音効果にも優れている脅威の新素材「TECCELL」。同じ強度の場合、アルミの約1/3、スチールの約1/7という軽量化を実現できる。リスのプラスチックグループは「ハニカムコア」と呼ばれる六角形セルを用いた樹脂の量産に世界ではじめて成功し、さまざまなフィールドでの活用方法を模索。その中で物流貨物を囲うスリーブボックスに着目し、拡販プロジェクトの立ち上げや新製品「ピタフィット」の開発を行なった。
物流クライシスの解決に挑むプロジェクトメンバーの中でも存在感を示した3人にピタフィット開発の裏側を語ってもらった。

物流クライシスを背景に、
プロジェクトを
立ち上げる。
パレットに載せた荷物を堅牢なスリーブボックスで囲うことで、トラックへの2段積みが可能になる。物流業界に強みを持つリスのプラスチックグループでは、これまでもTECCELLを使ったスリーブボックスを販売してきた。営業部長の本持はこう話す。「当社が主力としてきた物流パレットやコンテナの製造には金型が必要になりますが、板状のTECCELLは金型がいらず、軽量で加工性にも優れているため多様なカスタマイズを行えます。スリーブボックスもお客さまの要望や活用シーンに合わせて納めてきましたが、それほど数量が出る製品ではありませんでした。」
そんなスリーブボックスに熱い視線が注がれるきっかけとなったのが物流の2024年問題だ。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が制限されることで、物流の停滞が懸念されるこの問題。その解決のためには、人材不足の解消はもちろん物流オペレーションの革新が必須となる。スリーブボックスを使うことで2段積みが可能になるということは、トラックの積載量が2倍になることを意味し、荷物を保護するために多用されてきたストレッチフィルムやPPバンドなどのゴミを削減することで作業の手間や環境にも貢献できる。顧客からの相談も増えたこのタイミングで「スリーブボックス拡販プロジェクト」が立ち上がった。
「全国の支店からエース級の営業がプロジェクトに参画し、お客さまから寄せられる声をまとめていきました。ニーズをもとに営業戦略を練ると同時に、要望の最大公約数を満たす新製品の開発プロジェクトもスタートしたんです。」(本持)

限られた時間の中で、
革新的な新製品を。
新製品の開発プロジェクトを牽引したのが、技術部の井上と製造部の折戸だ。顧客からの要望を満たすために導き出したコンセプトが、より軽く、より扱いやすいスリーブボックス。さらに、2段積みした時の安定感につながる滑り止めの工夫やリサイクルのしやすさを考えた“オール樹脂製”など、複数の要件も加えられた。新製品の開発に許された期限は2年。短い期間で試作からテストまでをクリアする必要がある、難しいチャレンジだった。
「最も大変だったのが、樹脂ピンの部分でした。」と井上・折戸は口を揃える。
「これまでのスリーブボックスは金属リベットを使って止めていたのですが、金属リベット打ち込みには設備だけでなく熟練の技術も必要になります。さらに、金属を使ってしまうとそのままリサイクルに出せなくなってしまうんです。」(折戸)
「樹脂のピンを使うだけでなく、製造時の作業のしやすさとともにお客様や荷物の安全性も考えたのですが、これが難しくて…。試作と輸送テストを何度も繰り返し、樹脂ピンもコンマ数ミリの修正を重ねました。」(井上)
また、軽くて扱いやすく、組み立てやすいということは構造上の弱さにつながりやすく、輸送テスト中にスリーブボックスが破損したり中の荷物にダメージが出てしまったりという不具合も多発した。リリース時期が刻々と迫ってくるプレッシャーに耐えながら設計と検証を繰り返し、ブラッシュアップを続けていった。

「ピタフィット」の
完成で
有名企業への
導入が加速。
顧客からの要望が多かった滑り止め対策には、蓋の四隅に異なる特徴をもったプラスチックの2色成形を施すというこれまでにない工法の工夫が試された。
同素材の2色成形は見られるが異素材の2色成形は聞いたことがなかった井上だったが、前例がないモノづくりにあえてチャレンジした。試行錯誤を繰り返し、固い樹脂と柔らかなエラストマー樹脂の2色成形に成功したことで、スリーブボックスが安定し、しっかりと積めるようになった。
井上と折戸はクオリティを細部まで磨き上げ、新たに開発したスリーブボックスに「ピタフィット」という名前を授けて市場に送り出した。
ピタフィットは顧客からの反応も上々で、物流の2024年問題に取り組む名だたる企業への導入が相次いだ。
「軽量で扱いやすいピタフィットは、現場の作業員が簡単に組み立てられます。また、価格の面でもカスタマイズが前提のスリーブボックスよりも4割ほど大幅に安くできるため、営業的な側面からも提案がしやすい製品となりました。顧客から相談をいただくとピタフィットを持ち込んでデモを行うのですが、そのまま100台規模で導入いただくケースも多く見られます。」(本持)

プロジェクトを
牽引する3人。
それぞれの
想いとは?
新素材「TECCELL」を用いたスリーブボックスの拡販に挑み、ピタフィットの開発に成功した立役者の3人に、それぞれの想いや展望を語ってもらった。
「カスタマイズ性が高いTECCELLは、これからもどんどん形を変えてさまざまなフィールドや活躍シーンを創造できると信じています。さらなる可能性を秘めたTECCELLという新素材を扱っているということで、事業部の全員が前向きに動いている職場でもあります。また、ピタフィットが好調ですが、これが完成系だとは思っていません。さらなる要望も出てきますし、業界もどんどん変わっていきます。その流れを営業として素早くキャッチアップして企画や製造のチームにつなぎ、よりよい製品を投入するサイクルを加速していきます!」(本持)
「スリーブボックスでシリーズカタログを制作したのですが、そのラインナップすべてに携わることができています。もちろん私一人ですべてはできないので仲間や上司の力も借りながらですが、自身が企画・設計した製品が世の中に受け入れられ、注目されるのは仕事人生の中でもめったにない経験だと感じています。社内の創発大賞で社長賞も受賞できました。この経験を活かし、現在は折りたたみコンテナ開発に挑戦中。これからもあらたな製品をどんどん企画していきたいですね。」(井上)
「私は転職組ですが、過去にはいわゆる“下っ端”としての働き方が多かったように思います。でも、当社でTECCELLのものづくりに携わるようになってからは改善ポイントや自身のアイデアを積極的に発信し、主体的に働くことができています。この雰囲気は当社ならではの風通しの良さからきていると思うので、良い雰囲気を守りながら革新的な改善を通じて会社に貢献していければと思っています。」(折戸)
TOPICS
国土交通大臣表彰を共同受賞!
物流事業を展開する鈴与(株)をはじめとする11社が参画した物流効率化プロジェクトに「TECCELLスリーブボックス」が採用され、その取り組みが「グリーン物流パートナーシップ優良事業者」の2024年度最高位となる国土交通大臣表彰を共同受賞しました。パレットの積載率を高めることでCO2の排出削減量と必要車両の減少台数を過去最高にすることができました。


