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バイオマスプラスチック
推進プロジェクト
OUR FIELD
プロジェクトストーリー
植物由来プラスチックが
あたりまえの世の中を
つくりだせ!
サトウキビの搾りかすやデントコーン(人の食べない工業用トウモロコシ)から樹脂を生成する「バイオマスプラスチック」。焼却してもCO2の排出が差し引きゼロになるメリットや土に還る生分解性など優れた特性をもっている。リスのプラスチックグループは業界に先駆けてバイオマスプラスチック製品の開発に挑み、植物由来プラスチックのトップランナーとして20年にわたって普及・啓発を行ってきた。
2024年には国内初のバイオマスプラスチック専用の食品包装容器工場が稼働を始めるなど、さらに加速するプロジェクトを牽引する3人のキーパーソンにバイオマスプラスチックにかける想いや未来像を語ってもらった。

バイオマスプラスチックに
つながる、
それぞれのストーリー。
営業としてバイオマスプラスチックの普及・啓発に挑む山田は、講演などで全国を駆け回っている。山田が環境問題に興味を持ったのが高校生の頃で、大学に進んで学びを深めた。「環境サークルの仲間は、それぞれ想いを持って省庁や自治体、マスコミ、コンサル、農業関係などに進んでいきましたが、私はメーカーに入ることでものづくりの環境対応の最前線が見られると考えました。営業として大手スーパーを担当後、育児休業から復帰して間もなく現在の役割となって、まさにやりたかった仕事が出来ている実感があります」
新たな素材や生産技術を担う開発本部の杉村は、大学で一酸化炭素と水素からプラスチック原料を生み出す研究を行い、リスパックのインターンシップにも参加した。卒業後は別企業に就職したのだが、転職を機にバイオマスプラスチックの研究開発に挑むことになった。「ちょうど転職した時期にバイオマスプラスチック(ポリ乳酸樹脂)食品包装容器の販売が始まり、自然な流れでバイオマスプラスチックの開発をすることになったんです。」
サスティナブル戦略室を立ち上げ、バイオマスプラスチック推進の旗振り役を務める酒井。リスパックがリードするバイオマスプラスチック活用を、グループ全体に波及させている。そんな酒井も、元々は研究畑で環境対応に挑んでいた。「私が若い頃にも四日市公害や水俣病、高化学スモッグなどの環境問題がありました。そんな状況下で開発部の中にエコロジー素材研究部というのが立ち上がり、そこでエコな製品の開発を進めたんです。」

国内初となる
バイオマスプラスチック
専用工場を
立ち上げる。
バイオマスプラスチック製品のリーディングカンパニーを標榜するリスのプラスチックグループは、2024年に国内初となるバイオマスプラスチック食品包装容器専用の食品包装容器工場を兵庫県加西市で立ち上げた。その投資額は約180億円。バイオマスプラスチックのあらゆる技術とノウハウを集結した工場が稼働を始めた。
「私たちのバイオマスプラスチックにかける意気込みをカタチにしたのがこの工場です。専用工場にすることでバイオマスプラスチックを扱うためのオペレーションが楽になり、バイオマスプラスチックといえばリスのプラスチックグループというイメージもつくっていけると信じています。」(酒井)
その他の取り組みとして、Jリーグチーム「ザスパ群馬」と協力した実証実験もスタート。スタジアムで提供されるフード容器をバイオマスプラスチックにして回収し、チーム練習場の一画にコンポスターを設けて容器の生分解を試みた。すると、1ヶ月ほどでほぼすべてが生分解するという好結果が得られた。

バイオマスプラスチック
普及の最大の壁とは?
焼却してもCO2の排出が差し引きゼロになるメリットや生分解性など優れた特性をもっているバイオマスプラスチックだが、普及にあたってのカベがある事も事実だ。その一番の課題となったのが“価格”だった。
「バイオマスプラスチック原料は、通常のプラスチック原料の数倍の価格なんです」酒井は話す。現在は食品容器としての活用がメインのバイオマスプラスチック。容器を使う企業としては数倍の価格差というハードルは非常に高く、普及や提案にさまざまな工夫が必要だった。しかし、最近になってその流れが変わりつつある。
「10年近く前、ウミガメの鼻にストローが詰まっている衝撃的な映像がSNSなどで拡散し、環境対応への意識が一気に上がりました。お客さまからも何かできないかという相談を受けるようになりました。また、昨今の物価高や資材高騰の流れも受けて、バイオマスプラスチックの価格差のハードルが以前よりは低くなった気がします。本当にいいものならば価格が高くなるよねと理解していただけるようになったんです。」(山田)
「リスのプラスチックグループでは、バイオマスプラスチック以外の環境対応も数多く行ってきました。ポリ塩化ビニルの使用が社会問題となった時代にいち早くA-PET樹脂に切り替えたのですが、当時も数倍の価格差が課題となりました。ところが現在は、ほぼすべてがA-PET樹脂になっています。またリサイクルにはお金がかかるというイメージもあり、リサイクルプラスチックで作った“黒い物流パレット”も最初はなかなか受け入れられませんしたが今では業界のスタンダードになっています。」(酒井)
杉村に聞くと、研究開発の面でもバイオマスプラスチック普及の課題を次々とクリアしているという。
「バイオマスプラスチックといっても用途や製法によってさまざまなで、取り扱いがラクなものと難しいものがあります。中にはシート状にすることすら難しいものもあり、全体的に耐熱性が低くわれやすいという特性があるんです。約20年にわたる地道な研究開発で課題をひとつ一つ越えてきました。このような長年のノウハウがリスのプラスチックグループの強みとなっています。」


バイオマス
プラスチックが
あたりまえの
世の中に。
バイオマスプラスチックの開発や普及啓発に情熱を燃やす3人に、これからの展望を聞いてみた。
「営業としてはバイオマスプラスチックがあたりまえの世の中にしていきたいですね。たとえば100年後、昔はプラスチックが石油から作られていたんだって!と驚かれるくらいになればいいなと(笑)。また、プラスチックをゴミとして手放しても、モノ自体は残り続けます。環境問題を解決していくためには、身近なプラスチック製品が手元に届くまでのストーリーと、手放してからのストーリーを私たちみんなが想像することが必要なんじゃないかなと思っています。地球全体の大きな物質循環に、プラスチックも調和していくためには、技術だけでなく生活者の行動変様がとっても大切なんです。バイオマスプラスチックが変様そのきっかけになればいいですね。」(山田)
「研究開発を通じて、リスのプラスチックグループがお届けしている製品を全てバイオマスプラスチック化するのが目標です。難しいものでも一部をバイオマスプラスチック化することは充分に可能で、これまで難関とされてきた容器のバイオマスプラスチック化も、若手の活躍で製品化がいよいよ見えてきています。バイオマスプラスチックの材料も新たなモノがどんどん出てきている状況ですので、海外の展示会などにも積極的に足を運んで情報収集に取り組みます。未来の展望としては、たとえば海に流出しても分解するようなバイオマスプラスチックにもぜひチャレンジしたいですね。」(杉村)
「私はサスティナブル戦略室の室長として、リスパックが先導するバイオマスプラスチックの活用を横展開し、グループ全社に広げていく役割を担っています。企業としてのサスティナビリティを考えると、事業の存続と環境への貢献を両立することが重要です。食品容器以外の製品にもバイオマスプラスチック活用を広げ、意識しなくても良い循環が生まれるような世の中をグループ全体でつくっていきたいと思っています。」(酒井)
バイオマスプラスチック製品の
リーディングカンパニーへ!
TOPICS
バイオマス製品普及推進功績賞を受賞!
バイオマス製品の普及推進に優れた功績を挙げた企業として、リスパック株式会社が「第12回 バイオマス製品普及推進功績賞」を受賞。運営する日本バイオマス製品推進協議会からは当社の「長期にわたる多様なバイオマス原材料を使用した食品容器への展開と実績」を高くご評価いただいております。
